+視線+





闇色の視線を『美しい』と感じるようになったのは いつからだったろうか。





「関係ないだろう」


口癖のように紡がれるその音は、壁を意味する。

秀麗な眉をぎゅっと寄せて、鋭い目線で先を制する。
『聞くな』と、お前は牽制してる。

そうやって、いつでも俺たちとの間に、『壁』を作り上げていた。

でもそれはあまりに当たり前の事すぎて、
気に留めるようなことではなかったはずなのに。






…いつからだったのだろう。
いつ、そうなったのだろう。




―――『関係ないだろう』―――




凍てつく暗闇のようなその視線を、彼女の前でだけは




気づいていないのか?
お前は本当に、気づいていないのか?



「何の事だ?」
「お前…」


気づいていないのか?



お前がどんな目で、どんな視線で彼女を見ているのか。



「…関係ない」



そうしてお前は、また俺との間に壁を作り上げる。


砕いても、砕いても、砕いても。
いつも、お前はいとも簡単に壁を作り上げる。


闇色の視線、たった一つで。




決して自分に向けられる事のない
その蒼い視線を。



『美しい』ほどに残酷だと感じたのはいつからだったか。






きっと誰より先に、その美しさを見つけたのは



俺なのに。





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